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流行りはじめている名称

新市場に名前が付いた時点で、市場参入は既に手遅れという話を読みました(ITmediaBlog「永井孝尚のMM21」)。著者は企業でブランド・マーケティングの仕事などをされています。

この中で、「市場の名前が定まっていない段階は、市場がこれから立ち上がろうとしている段階であり、新規参入のチャンス」とされています。
逆に「逆にその市場の名前が決まっている時点では、その市場は既にある程度の大きさになっており」、「既に同じ市場でリーダーの地位を確立している経験豊富なライバル企業が存在している」とのくだりを読み、わが意を得たり、と思いました。

実は、商標登録を専門とする弁理士の仕事をしている中で、あまりにも似たような事例が多くあります。
商標登録をしたい、といった問い合わせを受けるのですが、それが流行りだしている商品やサービスの名前であるといったケースで、それに便乗しようとしているケースも多々あります。

しかし、その「流行りだしている言葉」が、既に一般的に広く使われるようになっているのであれば、特定の人が商標登録をすることはできません(商標法第3条第1項第3号等)。
逆に、その「流行りだしている言葉」が、先行する特定事業者の商品名やサービス名として使われているのであれば、他人の周知商標であるとして、やはり商標登録をすることはできません(商標法第4条第1項第10号等)。
ケースバイケースで、その他の拒絶理由に該当することもあります。

さらに、上記には該当せず、商標登録できる商標であったとして、既に他人が一般的に使用をはじめている名称と同じ名称を、わざわざ自分の商標として採択することは、競合の名称が多く、他人の商品・サービスとの区別がつきにくい商標を、あえてわざわざ選択するということになります。
その中で、自分の商標を世に広く知らしめようとすれば、ほかの独創的な商標を採用する場合にくらべ、はるかに多額の広告費をかけ、宣伝をし、営業をして、他の商品・サービスとは違うのだということを説明しなければなりません。
つまり不利なスタートラインにあえて立つということになってしまいます。

ところで、弁理士という職業柄、法律に関することや、行政に対する手続ばかりをしているのかというと、そうでもありません。
こういうケースが頻繁にあるということは、常に世の中で流行りだしているもの、それらの名称、あるいは誰がその名称を使いはじめており、誰が現在その名称を使用しているのかを、知っているか、あるいは瞬時に調べる対応力が必要です。

最近よく使われてきはじめた言葉だなと思い、安易に「便乗して商標登録することはできません」などと言ってしまってもいけないのです。
その言葉を発案し、一般名称にならないよう注意深く使用して、商標として管理している「ご本人」からの問い合わせや登録の依頼であることも、ままあります。


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