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Q&Aサイトは誤りだらけ-集合知になるはずがない理由
Q&Aサイトの回答は誤りだらけ
Q&Aサイトとは、不特定多数のユーザーから質問を受け付け、それに対する回答を他のユーザーから受け付けるというウェブサイトです。
ところで、商標登録などの専門的知識、法律的知識に関する質問は、専門家であってもさまざまな条文の適用可能性等を検討するために、より詳しい情報を聞かなければ答えられなかったり、時間をかけて調べたりする必要があることも多いものです。
しかしながら、誤った回答がされてしまい、それに質問者が満足してしまうと、回答が締め切られてしまい、間違ったQ&Aがウェブサイト上に残ってしまうということになっています。これが閲覧されれば、誤った知識がさらに広まってしまい、まずます悪循環になっています。
当サイトでは、無料相談をメール等で受け付けていますが、以前、似たような質問を複数の方から連続して受けたことがありました。
後で気づいたことですが、あるQ&Aサイトに同じような質問が掲載されていて、その回答をする”専門家でない人”が、専門家である当事務所に回答を求めたのだと思われます。
しかし、元のQ&Aサイトにある質問と、当サイトに寄せられた質問とでは微妙に内容が省略されるなどして異なっていましたし、案の定、元のQ&Aの質問に対する回答としては不適切なものになっていました。
Q&Aサイトで回答をすると、ポイントがもらえる等の特典があることが多く、そのため”専門家でない人”によるでたらめな回答が蔓延しています。
回答の通りに対応すると致命的なダメージを受けるおそれも
商標法に関する法律的な回答の誤りには、深刻度に応じた誤りのレベルがあり、
(1)誤回答の通りに対応すると、損害賠償請求等の致命的なダメージを質問者が回答するおそれがあるもの
(2)回答の中には正しい部分もあるが、間違った部分もある(あるいは原則に対する例外があることを書いていない等、不十分なものである)ため、誤回答通りに対応するのでは対応が不十分、あるいは最善の対応ではないため、不利益をこうむるおそれがあるもの
(3)用語や法律知識が不正確であるが、おおむね問題がないもの
等があります。
そして、その割合は、商標登録に関するQ&Aでいえば、(1)が20%程度、(2)が30%程度、(3)が30%程度あります。
特定企業の商標の由来、ブランドに関する知識など、法律的ではないQ&Aには誤りが少ないことが多く、法律的内容ではほとんどが(1)~(3)のいずれかの誤回答であるとすらいえます。
集合知が生まれない理由
問題は、上記のような誤りによって、ユーザーが不利益をこうむる可能性が高いにもかかわらず、回答が締め切られてしまうと、誤りを指摘できないことです。
質問者に知識がないと、一見正しそうに見える誤回答に対し、「満足」などとしてしまい、回答者に対し特典を与えてしまい、悪循環が広まるという憂慮すべき事態になっているのです。
何らかの対応や検討をしなければならない質問に関しては、無料相談等もありますので、かならず弁理士または弁護士に相談をするべきです。
そもそも、ポイントなどの特典目当てで知識のない人が回答し、知識のない質問者が満足すれば回答を締め切ってしまうシステムでは、”集合知”など生まれるはずがありません。回答の通りに行動すれば致命的なダメージを受けるおそれもあるこのようなシステムは、直ちに改善されるべきものです。
実際に「商標登録」で検索したQ&Aをランダムに見る
Yahoo!知恵袋では、
質問:
「商標・登録商標に詳しい方、お願いします。
自分の会社のロゴマークがないので、つくってもらおうと考えています。
このとき商標登録をしないでおこうと思うのですが、しないことで何か不利益を受ける可能性はありますか?
ということは他社(以降便宜上A社とする)が当社のロゴをパクッて商標登録申請し、認可されるということもあり得るのですか?
また、A社が当社に対して損害賠償請求をして、当社が賠償しないといけなくなる事も起こり得ますか?」
回答:
「・不利益を受ける可能性はあります。
・A社の申請(出願)が認可(登録)されることは、ありえます。
・賠償しなくてはいけない事も起こりえます。
・質問者さんが先に使用していたとしても、登録商標は早い者勝ちなので、A社が権利を得ます。
商標法違反及び不正競争防止法違反で捜査令状(家宅捜査)逮捕、拘留される可能性が大です。」
不利益を受けることはありえますが、不正目的の登録による異議申立、取消等の手段があることに触れていませんし、訴えられた際の対抗手段についても触れられていません。さらに、単なる過失の場合において、「捜査令状(家宅捜査)逮捕、拘留される可能性が大」とは考えられませんし、不正目的でなく不正競争防止法に違反することはありません。
これらを指摘しようとしても、「この回答内容が不快なら」という通報ボタンしかなく、その理由や、補足説明・正しい回答を掲載する手段がありません。
質問:
「ネットショップを運営しております。独自に開発したアクセサリーを販売しているのですが、楽天とビッダーズに出店している某ショップが、その商品、商品名、商品の説明文を盗用していることが判明しました。
商品のデザインや商品名は、意匠登録や商標登録を行っていません。」
回答:
「意匠、商標が登録されていなければ真似されても文句はいえませんが、説明文が盗用されたのであれば著作権法違反の可能性もあります。」
法的に対抗する手段がいくらでもありますし、著作権の問題もありますが、不正競争に触れない回答ではあまりにも不十分です。
質問:
「商標登録とブログタイトルについて
私は(禁煙セラピー[失礼ですがその方法では禁煙できません])というプログをやっていましたが、名前不明の方から(禁煙セラピー)は商標登録ですよ、とコメントを頂きました。ブログのタイトルに別にこだわりはありませんので、すぐにタイトルを変えようと思います。
ここで二つ質問があります。一つは商標登録されたものは、ブログタイトルの中に入っていると法的にまずいものなのでしょうか?」
回答:
「私は特別に法に詳しくはありませんが、ネット上の個人のブログタイトルに商標権を指摘するようなことは聞いたことがありません。
そのブログが商用のブログでなければ、そもそも成立しないような。」
ブログタイトルは商標として使用されていることが、営利など業務での使用の場合にはほとんどですし、商標登録をすることや、侵害の問題になることは頻繁にあります。
非営利であっても商標権侵害となることもありえます。
他のQ&Aサイト、OKWaveでも、同様です。
質問:
「個人で事業を営んでおります。法人化はしておりません。
現在使用している「屋号」を同業他社に使われないように登録したいと思います。
どのような方に相談するといいでしょうか?
例:行政書士さん?」
回答:
「『屋号』を同業他社に使われないように登録するには、2通りの方法があります。
1つは、屋号を登記する方法で、2つ目は屋号商標登録する方法です。
屋号を登記すると、同じ市区町村内では、他人はその名前を使うことは出来なくなり、全国的に独占使用したいという場合は、商標登録をすることになります。
いずれの方法も、行政書士か司法書士に依頼します。
費用は、7万円税後かと思います。」
屋号(商業登記)は司法書士、商標は弁理士です。行政書士の業務ではありません。
商標登録には独占権はありますが、屋号では同一住所でなく、不正競争などでない限り、同一の屋号は使用できます。
「同一市町村内」は、改正前の旧商法ですが、回答時に仮に正しかったとしても、現在正しいとは限りません。しかしQ&Aはそのまま残って掲載されており、補足や訂正をする手段もありません。
しかも、当事務所のサイトには詳細な法律的説明があるため、該当ページへのリンクを張って回答をすると、宣伝目的とみなされ、回答を消されてしまいます。
質問に対する適切なページへのリンクであれば問題ないはずですし、宣伝目的のリンクを消すにしても、リンクだけを削除して回答は削除するべきではありません。
教えてgooについても同様です。
はてな人力検索についても同様ですが、少しだけましなのは、回答締め切り後にも、補足コメントを掲載できる(この質問・回答へコメントを書く)ことです。
質問:
「会社名で登録する場合は(株式会社*********)、私も登録できるものでしょうか」
回答:
「できます。」
まったくの誤りで、個人が、「株式会社」「有限会社」等の文字の含まれる商標を登録することはできません。
その会社名義での登録でなければ認められません。
その法律的な根拠は、商標法第4条第1項第7号に該当し、拒絶理由となるためです。
さっそく訂正のコメントを書き込んでおきましたが、1年以上も前に回答が締め切られたQ&Aであるだけに、質問者が目にしてくれることはあまり期待できません。



