文章には、それを書いた人の性格や考え方が見事なほどに体現されます。
たとえば、日常的に感じることですが、まだ会ったことがない方とメールでやりとりして実際にお会いしてみると、想像していた通りの性格の人であることがほとんどです。
ウェブサイトの文章についても、まず同じであるといえるでしょう。実際に誰が書いているものかはわからないものですが。
情報提供を主体とするサイトであれ、営業を主体とするサイトであれ、閲覧者は顧客、見込み客、潜在顧客などの顧客サイドの方々であり、ウェブサイトの文章を初めとするコンテンツを提供しているのは、営利サイトである限り、営業主体であることになります。
近年、ウェブマーケティングが普及してくるにつれ、同じような顔をした同じようなページが氾濫しています。
特に、短絡的に注文を得ようとしたり、商材を売り込もうとしたりしているサイトにおいて顕著です。
サイトのタイトルがあって、その上に検索エンジン対策のキーワードを羅列した文章があって、タイトルの下やページの右あるいは左にメニューがあって、中央部分にメインコンテンツの文章が来るものです。
メインコンテンツの文章では、その商材がいかに素晴らしいものであるか、その商材を購入しないとどのような”大変な問題”があるか、ここで注文をすればどれだけ”お得”であるかといった文章や、それを強調する見出しやチェックリストなどが並んでいます。
どことなく、スーパーのチラシやテレビショッピングの連呼に似ています。
それはそれとして、筆者がいつも気になっているのは、「メニュー」項目の中に必ずといっていいほどある、ある項目です。
そのメニューはたいていは、なぜか「よくある質問」あるいは「FAQ」となっています。
「FAQ」とは、英語の”Frequently Asked Questions”の略語で、日本語にすれば「よくある質問」です。インターネットを離れた日常生活で、まず使うことはありません。そのサイト運営者あるいはウェブデザイン会社の人であっても、日常生活で普通に使用することはないはずです。言葉の響きがとても聴くに耐えない汚い言葉です。
雑誌広告やチラシ、取り扱い説明書などには書かないのに、なぜウェブ上に書く時だと「FAQ」なのでしょうか?
さて、話は最初に戻りますが、このようなメニュー項目を用意しているのは、営利サイトである限りは営業主体の側であり、それは顧客向けに発信されています。
ところが、「FAQ」などというなじみがなく、汚いコトバはもちろんのこと、「よくある質問」という言葉も営業主体から顧客に向けて言う言葉ではありません。
なぜなら、「よくある」のは営業主体にとってであり、顧客の側からは同じ質問を何度も普通はしないものですから、よくあることではありません。「よくある」のは、営業主体である会社や事業所の中でのことなのです。(くそったれ、また同じ質問かよ、ということです)
「よくある質問」コーナーを設ける理由は、同じような質問を繰り返し受けているから、「よくある」ことは勝手に読んでおいてくれよ、ということであり、その理由自体は、当サイトを運営している筆者にとっても理解はできます。
たとえば当サイトでは、手続の見積や相談などの営業上歓迎すべき質問はもちろんですが、不特定多数のさまざまな方々向けに情報発信していることもあり、実にさまざまな質問が寄せられます。
中には、たった1行の文章で「商標登録とはどういうものか説明してください」といった回答に困るものもあります。「ここは特許庁ですか?」といったご質問も(・・・違います)。
しかし、それでも、予備知識の有無などに関係なく不特定多数向けに情報発信し、無料相談を受け付けている関係上、こうしたことも営利サイトとして想定の範囲であり、正しいコトバの使用としては、
「よくいただくご質問」
なのです。ウェブデザイン上、文字のスペースが足りなければ、「Q&A」であれば日常的にも定着しており誰もが理解できる言葉だから問題ないと思います。
表面上、あるいは営業テクニック上、さらには短絡的な検索エンジン対策上のウェブマーケティング、ウェブブランディングばかりが実施されていながら、コトバの使用について無神経なことが多いと思います。しかし、どのような考え方でいるのか、その一端が言葉の使用法から見えてしまうのです。