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商標の審決・判例

商標審決データベース

商標登録についての特許庁の審決を集めたデータベース。
審決とは、審査に不服がある場合(拒絶査定不服審判)や、他人の商標権を無効にする場合(商標権無効審判)など、行政庁である特許庁に申し立てる裁判に類似した手続きの決定のことをいいます。

商標判例データベース

商標権に関する裁判には、大きく分けて行政訴訟と民事訴訟とがあります。
行政訴訟には、特許庁の審決に対する不服申立である審決取消訴訟があります。
民事訴訟には、商標権侵害に対する損害賠償請求や、使用差し止めを求める訴訟などがあります。

音の商標においの商標

音・においを商標に、特許庁検討 2010年の法改正目指す
との報道がありました(日本経済新聞)

特許庁が、音やにおい、動きなど新しいタイプの商標を導入する検討に入るというものです。これらは、音響商標、におい商標などといわれ、制度として導入している国もあります。

商標とは、よく「○○○」という言葉が商標登録された、などと報道されることから、ある言葉の使用権を独占するもののように思われがちですが、言葉を独占するものではなく、あくまでも商品名やサービス名称など業務について使用することに関し独占をするものです。

そうすると、音響やにおいが、業務について、それを表示するものとして使用される場合とはどういうことが考えられるのでしょうか。特許庁、音やにおいを商標登録できるように法改正へちょっととまどってしまう点もあります。

音響が何かの業務を示すものとしては・・・たとえばCMの音楽のフレーズや
セリフの言葉、「It's a SONY」とか、ラジオ局のJ-WAVEのジングルなどでしょうか?
においが何かの業務を示すものとしては・・・思いつくのが難しいのですが、たとえば香水のにおい、香料のにおい?

現在の日本の商標法および商標審査基準では、
「Sound mark(音響商標)、Olfactory mark(匂い商標)、Color mark(色彩のみからなる商標)」
は、登録できないとされています。(商標法第3条第1項柱書き

臭い商標については世界でもまだ前例が少なく、これを保護対象として認めているアメリカ、オーストラリア、イギリスなどでも登録例は少なく、アメリカでさえ1990年に初めて登録されてからまだ数件しか許可されていない状況。
本当にこれらの登録を認める必要があるのかどうか、日本国内で誰がこの制度の導入を望んでいるのかいないのか?

さて、商標登録出願は、依頼を受けた弁理士は、類似商標がないかどうかの調査をし、パソコンで出願書類を作成し、特許庁に提出(オンライン送信)します。
ネーミングなどの文字商標は、文字を入力して簡単に検索できます。類似商標がな意かどうかの判断には専門的な知識も要りますがわかりやすいものです。
マークなどの図形商標は、図形商標調査をします。図形のパターン(たとえば木の葉、擬人化された人の顔、三日月形、二本の線、など)を示すコードによって検索をします。

それでは、においの調査・検索はどうするのか。似ている匂いの登録があるかどうか、審査官は何をもとにどうやって審査をするのか? においに鈍感だと審査官にはなれないのか?
音響商標が何千も登録されていたとして、類似商標があるかどうかを聞き比べるのか? 10秒の音響商標と、60秒の音響商標とで、部分的な類似はどうするのか? ある程度の長さの音響は著作権で保護されることが多いと思われるが、著作権との兼ね合いは??
疑問は尽きません。

それでも「本生」は商標です

アサヒ「本生」の商標登録認めず 知財高裁判決(イザ!)との記事がありました。

アサヒビールが出願した発泡酒「本生」の商標登録出願が拒絶されたことに対し、不服申立をしたが特許庁がやはり登録を認めなかった審決について、裁判所もその判断を維持したという内容です。
(なお、記事中の「無効にした」という記載は誤りです)

要約すれば、判決では、商標を構成する「本生」の文字は食品分野において広く用いられているものであって、出願人の使用実績を勘案しても、「本生」の文字のみによって,原告商品が原告の業務に係るものであることを認識できるほど取引者・需要者に広く知られるに至ったとはいえない、と判断したものです。

ここでは、判決内容について解説するわけではありません。
あちこちのblogサイトを見ていたところ、「『本生』は商標じゃない」などという表現で解説しているものがあったので、誤解が広まらないように、あえてここでは、「それでも『本生』はアサヒビールの商標だ」と書いてみるわけです。

その理由は簡単です。
商標とは、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をする」「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」(商標法第2条第1項)であるからです。
どう見ても明白に「商標」です。商標かどうかについて裁判所も問題にはしていません。

ここで、皆さんがご覧になっている当サイトのこのページの中で、いったいどれが商標(商標法第2条第1項)にあたるでしょうか?
(なお当サイトでは、サービスの提供なので、「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をする文字・図形等」が該当します)

「商標登録.jp」の文字が商標です。
「www.shohyo-toroku.jp」の文字が商標です。
これらの文字と、色彩の付いた複数の円からなる図形が商標です。
「商標登録news」の文字が商標です。
「商標登録ニュース」の文字が商標です。
「商標登録news」の文字と、色彩の付いた複数の円からなる図形が商標です。
「金原商標登録事務所」の文字が商標です。
「無料相談」の文字及び図形が商標です。
「商標登録news blog」の文字及び図形が商標です。

他社の商標を除いても、少なくともこれだけが商標にあたります。
このような商標のうち、単なる普通名称や品質表示等を普通に表示しただけのもの(識別力がない商標)などを除いて、類似商標がない等の一定の要件を満たせば、登録が認められるということなのです。
そして、識別力があるかどうかは、文字のデザインや、その使用実績による著名度、需要者・取引者の認識、商標の普通名称化など、時間の推移によっても変わります。

ここで、問題となったアサヒビールの商標「本生」を、使用している商品を見てみましょう。
2007040201.jpg

さて、どれがアサヒビールの商標でしょうか?
上からいきます。

「SMOOTH AND TASTY」が商標です。
「ASAHI'S ORIGINAL BREW」が商標です。
「HONMANA」が商標です。
「ASAHI」が商標です。
「DRAFT」が商標です。
「本生」が商標です。
「ドラフト」が商標です。
「ASAHI BREWERY LIMITED」が商標です。
「発泡酒」が商標です。
これらの要素全体により構成されるラベルが商標です。
缶の形状と、ラベルから構成される立体が商標(立体商標)です。

今回問題とされた商標と対比してみましょう。
2007040202.jpg

上記のような多数の商標のうち、どれに識別力があって登録できるものか、どれが登録はできないものかは、商標であるかどうかとはまた別の問題です。

また、「本生」の文字は、アサヒの商品ラインナップの中で、「スーパードライ」、「PRIMETIME」、「熟撰」、「黒生」、「極」、「スタウト」、「オリオンドラフト」、「北の職人」、「富士山」、「贅沢日和」、「STYLE FREE」などの、他の商品と識別するための標識として現実に機能しているのです。

それが商標登録に値する要件を満たすものとなっているかどうかは、文字のデザインや、その使用実績による著名度、需要者・取引者の認識、商標の普通名称化など、時間の推移によっても変わります。ある意味で流動的なものです。
商品のブランドを確立させること、白塗りの袋文字で表した『本生』の文字に影を付けたデザインを認知させることは、商品開発をする側としては当然ですし、出願人がそのように頑張れば弁理士も頑張るものなのです。

「Office Live」の名称は商標権の侵害?

「Office Live」の名称は商標権の侵害--米Office Live社がMSを提訴(CNET Japan)との記事がありました。<文:Dawn Kawamoto(CNET News.com) 翻訳校正:編集部>

ソフトウェアツールの名称「Office Live」の使用に対し、Microsoft者を相手取った商標権侵害訴訟が、ロサンゼルスに本拠を置くOffice Live社によって起こされたというもので、同社は「Office Live」の商標を2002年に登録しているとの内容です。

この件については、詳細を知りませんので、見解等を述べることはここではいたしません。
ただ、一般的な感想として、「Live」という言葉は、ソフトウェア製品やサービスについての一般名称ではなく、必ずしも品質表示とまではいえないものの、広く使用される単語をそのまま、製品やサービスの商標として採用することは、必ずしも好ましいとはいえません。

このことは弁理士として、常々感じていることです。
(1)普通名称、慣用商標、商品の品質表示などは、ロゴマークなどとして商標登録できる場合はありますが、たとえ登録されたとしても、第三者が普通に表示することは可能であり、使用を独占することはできません。

商標法第26条(商標権の効力が及ばない範囲)
(前略)
2 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標

3 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標

4 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標」

※念のため、「Office Live」や「Live Search」は普通名称ではありません。

(2)他の商品やサービスでもたくさん使われる言葉のため、ブランドの知名度を上げるには通常以上の広告宣伝を必要とする、つまり最初から競合が多い。

(3)類似商標も多くあると想定されるため、商標登録をすることが難しく、特にインターネット企業のような世界的企業では各国ごとにその問題が生じうる。

(4)商品やサービスの需要者から見ても、一般的言葉はありふれていて印象が弱く、逆に覚えにくく感じられることが多い。

といったことがあげられます。

「インターネット・ブランディング 11の法則」(アル・ライズ&ローラ・ライズ著、恩蔵直人訳、東急エージェンシー発行)においても、
「一般名称の法則
 インターネット・ブランドにとって、一般的な名称は禁物である。」として、
・代表的なインターネット・サービス・プロバイダーはISP・ドットコムではなく、AOLである、
・ネット上の代表的な検索エンジンはサーチエンジン・ドットコムではなく、Yahoo!である、
・ネット上の代表的な書店はブックス・ドットコムではなく、Amazon.comである、
・ネット上の代表的なオークション・サイトはオークション・ドットコムではなく、eBAYである、
といった指摘を数多くしています。

私も仕事柄、一般的言葉の組み合わせのような商標を登録したいというお問い合わせが数多くあり、何とか権利を押さえたいという要望を受けることがあります。
しかし、それは商標登録がしにくいか、最初から困難であったり、あるいはロゴマークにするなどして権利を取得しても、権利が制限されるものであったりします。

一般的名称をネーミングとして採用することは、再考の余地が大きいと考えるものです。
「google」や「Yahoo!」、「Amazon」といった造語、あるいは「楽天」、「アスクル」などの造語を思い浮かべてみれば、はるかに印象は強く、覚えやすく、競合は少なく、商標登録されやすく、訴えられにくいかがわかると思います。

※では「商標登録ドットコム」はどうなのかという指摘を受けてしまいそうですが、元々アルファベットのドメイン名の日本での名称採用に関しては、やや異なる側面もあるようには感じています。

商標登録出願「Web 2.0」の審査

Web2.0の商標登録が認められるかどうかについては、「Web2.0」が、第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等について、それらサービス(役務)の内容、質を示すものかどうか(商標法第3条第1項第3号)、商標登録出願人の識別標識として機能するものかどうか(商標法第3条第1項第6号)といったあたりが問題になります。
「Web2.0」が、日本ではメディアライブジャパン株式会社により出願されており、ここのところ急速に広まったこの言葉が独占されていいのか、といった議論がされていますが、法律的には上記に該当するかどうかという点が審査されるもので、特に注目すべき論点があるわけでもありません。
また、上記に該当するとして拒絶理由通知から、さらに審査が進んだ場合には、使用をした結果、商標(すなわち商標登録出願人の識別標識)として著名であるかどうかを主張して認められるのか、それとも商標登録出願人の識別標識としてではなく周知の言葉になってしまったのか、が問題になるはずです。

「Web2.0」の商標については、下記の3点が論じられるべきだと私は思います。
(1)商標の普通名称化が従来考えられないスピードと経路で進行してしまうこと。
(2)インターネットでの使用例に関する特許庁の判断手法。
(3)インターネットでの商標の使用実績の証明手法。

(1)商標の普通名称化が従来考えられないスピードと経路で進行してしまうこと
「Web2.0」という言葉は、もともと、Tim O'Reillyが提唱したコンセプトで、「次世代ソフトウェアのためのデザインパターンとビジネスモデル」(Design Patterns and Business Models for the Next Generation of Software)として定義しているものです。
「Web」という普通名称、「2.0」というソフトウェア等において慣用的に使用されるバージョンを示す数字、から構成された言葉であること、さらにブログやSNS、RSSを使いこなすユーザーの関心を得やすいジャンルの言葉であったことから、この言葉は急速に広まります。

言葉が発案された時点では、普通名称や、商品・サービス(役務)の内容、質を示すものではないと考えられるものの、ソフトウェア製品(第9類)あるいはプログラム設計・作成(第42類)等については、普通名称といえないまでも、特定の商標登録出願人の識別標識とはいえないと考えられます。
そして、実際に出願されている第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等については、サービス(役務)の内容、質を示す言葉(商標法第3条第1項第3号)、商標登録出願人の識別標識として機能しない言葉(商標法第3条第1項第6号)である可能性が強くあります。

「Web2.0」という言葉を本当に商標として独占しようとするのであれば、元々のコンセプトにおいて「O'Reilly氏あるいはMediaLive International社が提供する~」といった商標登録出願人の識別標識として定義していなかったこと等、注意が足りなかったのではないかという疑問が残ります。
ただ、ソフトウェア製品(第9類)あるいはプログラム設計・作成(第42類)等については、コンセプトの内容と共に、広く言葉を普及させたいという思いがあったのかもしれません。

今回の件の教訓は、自分の商標として権利を保持したいのであれば、その言葉の提示方法、インターネットを通じて広まる経路を想定した表示方法について、従来では考えられなかった速度と経路が伴うことを、あらかじめ想定して対策しなければならないことです。
MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の提供するソフトウェアを用いた広告・市場調査手法、セミナー名称として定義すること。これらサービスについての、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社が所有する商標であること。表示には(TM)等の表示を必ずつけること。まずマスメディアへのプレスリリースなどを行い最初に知名度を上げること。
これで商標としての権利保持ができたかどうかは、「Web2.0」が元々識別力の弱い言葉であったこと、そして言葉の広がり方を考えると定かではありません。
しかし同時に出願されている「Web2.0Conference」については、十分に対応可能であったろうと私は考えます。

商標が、商標(すなわち特定人の識別標識)であると注意喚起されずに一般の第三者に使用されれば、普通名称化が進み、普通名称と認定されてしまえば、誰もが使用できる言葉になってしまいます。
しかし、「正露丸」が数十年かけて普通名称化したと認定されたことを思えば、ブログ、SNS、RSS、ウェブサイトや電子メール、メッセンジャー等で不特定多数を相手に瞬時に、幾何級数的に広がってしまう普通名称化に対抗することが極めて困難です。
最初に情報を提示するときまでにあらかじめ対応を想定しておかなければなりません。

さらに、情報の広がる経路でいえば、「正露丸」の時代であれば、新聞社、雑誌社、書籍発行者、辞書編纂者、放送局等に注意喚起をしておけばよく、一般消費者が商標と知らずに使用したとしても、その情報の広がりはきわめて限定されたものでした。
しかし、ブログ、SNS、RSSなどでは、情報の経路についてコントロールができず、そもそもどこに「Web2.0」あるいは「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができません。
仮に、どこに「Web2.0」あるいは「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができたとして、その相手の多数に対して、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の商標です、とは伝えられないと思います。
さらに仮に伝わったとしても、トラックバック、RSSやウェブページのキャッシュなど、消すことや訂正することが困難です。

このことは、意識的に、商標(すなわち特定人の識別標識)として第三者に伝達する場合の表示についてもいえます。
たとえば、広告として他のウェブサイトに表示させる際に、商標(すなわち特定人の識別標識)であると注意喚起することを怠ることは危険です。検索エンジン広告などでは、検索サイト以外の不特定多数のウェブサイトにも表示されますし、アフィリエイト広告についても同様です。

(2)インターネットでの使用例に関する特許庁の判断手法
商標登録出願人が出稿しているアフィリエイト広告が、一般に使用されている例として列挙され、商品の品質等を示す言葉として一般的に使用されている(商標法第3条第1項第3号)という拒絶理由通知を受けたことがあります。これを一つ一つ、商標登録出願人が出稿しているモノで、識別標識として機能している商標であると反論する必要がありました。
たったの数例の使用例で、一般的に使用されている(商標法第3条第1項第3号)と認定されることには疑問を感じます。掲示板やブログでは、喋るのと同程度の手間で使用できてしまうこと、さらに悪意のある者が故意に広めることも可能であるためです。
しかし、商標の所有者とは関係ない第三者のページに表示されている言葉をクリックすれば、商標所有者の商品のページに移動すること、これを証明していくことが困難で、使用例が多数あればすべてを証明することは不可能に近いといえます。

(3)インターネットでの商標の使用実績の証明手法
「Web2.0」が、その6文字単独で、第35類の広告、市場調査等、第41類のセミナー関係等について、商標(すなわち特定人の識別標識)として使用されているかは、知る限りでは疑問です。
しかし、「Web2.0Conference」(商標)は、第41類のセミナー関係等については、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社の商標(すなわち特定人の識別標識)として使用されているといえると私は思います。
前述したように、「Web2.0Conference」という言葉が、ブログ、SNS、RSS、ウェブサイトや電子メール、メッセンジャー等で不特定多数に急速に広まったとしても、その多くは、MediaLive International社の、あるいはメディアライブジャパン株式会社のセミナー、イベントの名称として言及されていたはずです。

第二回の「Web2.0Conference」は、Tim O'Reillyが提唱した翌月に開催されており、特定のイベントを示す言葉として急速に著名になったはずです。
急速に周知になったことから「Web2.0」の登録を拒絶するとすれば、「Web2.0Conference」が急速に周知になったことから第41類のセミナー関係等については登録すべきであると私は思います。
使用実績による周知の努力を認められるべきであること、これが独占されても他人は別の名称を選択可能であることによります。
また、法律的には「使用による識別性」(商標法第3条第2項)によります。

ところが、「使用による識別性」(商標法第3条第2項)を受けるためには、メディアライブジャパン株式会社のセミナー、イベントの名称として使用された結果、著名になっていることを、証拠を示して特許庁に納得させなければなりません。
商標審査基準では、「商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断するものとする。」として、
 A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
 B 使用開始時期、使用期間、使用地域
 E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
などが考慮されます。
そしてその証拠方法は、
 A 広告宣伝が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
 G 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等の記事
などを用います。

100万部発行の雑誌であれば1つの証拠で100万人の証明ができます。テレビの視聴率、新聞(全国紙)の発行部数はさらに多くなります。
しかし、ブログ、SNS、RSSなどでは、情報の経路についてコントロールができず、そもそもどこに「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができません。100万のブログの証明には100万の証拠が必要です。
仮に、どこに「Web2.0Conference」が表示されたかを把握することができたとして、それらがMediaLive International社、メディアライブジャパン株式会社と関連付けられていることを証明しなければなりません。
大手のウェブサイトはともかくとして、個人のウェブサイトを1ページずつすべてプリントアウトすることは困難です。
また、検索結果をプリントアウトするにしても、きわめて膨大なものになりますし、「Web 2.0 Conference MediaLive」で検索したとして、スペース等の検索式入力方法により大きく検索結果が異なります。さらに、検索結果の中には、「Web2.0Conference」がメディアライブ社の商標ではなく一般名称だと主張するウェブページも含まれているはずです。

インターネットでの商標の使用実績を示すためには、アドワーズ広告(商標)などの検索エンジン連動広告、アフィリエイト広告などもあります。
出稿されるウェブページのすべての所在はわかりません。また、表示される広告の内容は自分で随時変更できるものもありますので、特許庁に提出する証拠と同一の表示がされていたものばかりとは限りません。
また、検索エンジン連動広告、アフィリエイト広告などの管理画面の統計も、一定期間の統計に限られていたりしますし、請求される広告費の集計で証明をすることにも限界があります。

まとめ
Web2.0時代の商標には、普通名称化の防止策について、事前の対策と、普通名称化進行中の対策とについて、新たな対応の検討が必要とされていると考えます。
一方、自分の商標であることが著名になれば、他人の登録を排除したり、通常では普通名称や品質表示とされる言葉でも登録される場合があるため、Webを使用した、商標の著名化方法というものも検討できるのかもしれません。
インターネットでの商標使用の証明方法については、審査基準、証拠方法のより明確な検討と、証明方法の検討が必要とされているのではないでしょうか。

「ボランティア」「NPO」の商標登録の取消しは正しかったのか?

商標登録をはじめとする知財ニュースでの誤報や、誤解を招く表現は、商標に関していえば、そのほとんどが次のいずれかが理解されていないことに起因しています。
(1)商標登録は、登録された業務(商品またはサービス)の範囲のみについて独占使用権があること。
(2)登録商標であっても、自らのブランド名(商品名やサービス名、ブランド名など)として使用する場合、つまり商標として使用する場合にのみ、商標権侵害の問題となること。
(3)商標登録された言葉であっても、商品・サービスの普通名称や、それらの品質表示等にすぎない言葉は、誰もが使用できること。

角川書店が「ボランティア」「NPO」という言葉を商標登録したことに対し、第三者から特許庁に異議申立が提出され、審理の結果、登録が取り消されたことがありました。
これは、正しかったのでしょうか。

(1)角川書店は、特許庁で決められている商品の区分を第16類として、「新聞、雑誌」についてのみ、商標登録を行い、独占権を得ました。あくまでも新聞、雑誌のタイトルのみを独占することとなり、それ以外でほかの人が使用をしても、この商標権を侵害することにはなりません。
にもかかわらず、当時の報道や関係者の発言でも、「NPO」という言葉を含む新聞、雑誌は発行できなくなるといった誤解や、さらに極端な誤解では「NPO」という言葉が独占されるかのような論調がありました。「NPO」という言葉を含んでいても商標全体として類似しないタイトルであれば、新聞、雑誌についても使用可能ですし、それ以外の類似しない商品やサービス、非営利活動について「NPO」を使用可能であることは明らかでした。
(2)角川書店の商標が登録されていても、商標として使用しなければ商標権侵害にはなりません。たとえば新聞や雑誌での文章中での言葉の使用や、書籍のタイトル内での言葉の使用は単なる著作物の内容であって、商標として使用しているわけではありません。また、角川書店の雑誌の名称として記載しても、角川書店以外の人のブランド名として記載しているわけではなく、問題ありません。
(3)特定非営利法人の英文略称である「NPO」は、当然に誰でも使用できるもので、このような使用が自由であることは、商標法第26条に明記されています。

しかも、商標法にしたがって登録すべきかどうかの審査を特許庁では行いますが、その際の審査基準として、「商品やサービスの質や内容を普通に表示する言葉であっても、「新聞、雑誌」については原則として登録を認めることが記載されており、「NPO」の登録はこれに沿ったものだったのです。「世界」「相撲」「よいこ」「おともだち」「現代」「モーニング」「FRIDAY」「環境教育」「ランチタイム」「学習まんが」「世界の絵本」「パーティー/PARTY」(/は改行を示す)「デザート/DESSERT」「フラワー」「保育園」「入学準備」などは、いずれもごく普通の書体で、新聞や雑誌について商標登録されています。
しかしこれらの言葉が使えなくなったなどという話はもちろんありません。

「NPO」「ボランティア」の商標登録を取り消したことによって、誰もが「NPO」という新聞・雑誌を発行できますが、同じ名称の雑誌が発行されたり、悪意でタイトルを模倣した雑誌を発行されたりするおそれがあります。
商標の信用に関わる問題です。

「阪神優勝」の商標無効

「阪神優勝」の商標を、阪神タイガースとは関係のない千葉県の男性が、2002年2月に商標登録していたことが2003年に話題になりました。ロゴ入りTシャツなどを販売していたことも報道されました。
これに対し、プロ野球の阪神球団側は、「公認グッズと誤認される恐れがある」として、「阪神優勝」の商標登録無効を求めた審判を請求し、特許庁は球団の請求を認め、商標無効の審決を出しました。
 無効審判の審決では、「阪神」を「阪神タイガース」の著名な略称と認定し、商標「阪神優勝」は「商品の出所を混同させる恐れがある商標は登録できない」と定める商標法に反して登録されたと判断したものです。

 さて、無効審判とは、登録され権利が成立した登録商標について、商標法の所定の規定に該当することを理由として、登録を無効にするために特許庁に請求する手続です。今回は、無効審決により、登録が初めからなかったことになります。
 ところで、「阪神優勝」報道に関しては、ひと頃は、この個人が「阪神優勝」を商標登録したことにより、あたかも、阪神球団が「阪神優勝」の言葉を使えなくなるかのような誤った報道がありました。はっきり言えば誤報です。
 まず第一には、阪神の優勝という普通の言葉を普通に用いる分には、商標登録をされていても使用できること。
 第二には、登録商標を独占的に使用できるのは、その商標権の指定商品・指定役務(サービス)について、商標として使用する場合であるため、それに該当しない使用をすることに問題はないこと。
 そして第三には、登録された今回の商標は、文字だけではなく図形と組み合わされて登録されたものであり、図形まで使用する場合であればともかく、文字だけを普通に使用することに問題はないと見られたこと。
 最後には今回の無効理由があったと思われることです。
 商標や特許、特にソフトウェアやビジネスモデル特許の報道には、誤報じゃないかと思われる内容があまりにも多く目に付きます。

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