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「いいね!」の登録商標がいっぱいありますね

Facebookの「いいね!」ボタンで有名になったものですが、日本では同社によるものでは、LIKE!ボタンの図形商標が出願されています。

「いいね」という言葉自体は普通に使用するものなので、登録されている商標もいろいろ面白いものがあるのではないかと思い、検索してみました。

たくさんありました。

商標登録第4579255号(登録日:2002年6月21日)
「いいね・いいね・いいね」
第25類:被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

商標登録第5134906号(登録日:2008年5月16日)
「いいね!がいっぱい\日立市」(図形商標)

第41類:技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,図書の貸与,録画済み磁気テープの貸与

Facebookの「いいね!」がたくさんつきそうな商標です。

上記の商標は、出願された時期も古く、Facebookを意識したものではないと思います。

商標登録第5418390号「いいね割」、
商標登録第5441807号「いいね!募金」、
商標登録第5478744号「かわいいね!ボタン」、
などは意識しているかもしれませんが、個別事案についての言及はこのくらいに控えておきたいと思います。


iPhoneのアイコン図形が商標登録されていました

下記の図形商標が登録されています。権利者はアップルです。

もともと、アメリカの商標登録に基づき、各国を指定した国際登録を行ったものですが、指定した各国において拒絶査定がされるなどして、日本でもいったんは拒絶査定されたものです。
なお国際登録は、本国での登録に基づき、条約に加盟する各国を指定して、一つの手続きで複数の国への商標登録を行うというものです。

国際登録番号:1042026
国際登録日:2010/5/21
指定国:AU (Australia), CH (Switzerland), CN (China), EM (European Community), JP (Japan), KR
(Republic of Korea), RU (Russian Federation), SG (Singapore), TR (Turkey)

国際登録後に各国では登録を認めるかどうかを審査することができ、日本では拒絶査定となりました。
その理由は、
「本願商標は、多少抽象的であるとしても、携帯電話又は記録・整理・伝送・携帯電話のための携帯用デジタル電子機器を表したものと認識されるものであるところ、これを本願指定商品(例えば、携帯電話及び携帯用デジタル電子機器)に使用しても、単に、上記商品の外装を表したものと認識するにとどまり、指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3号に該当する。」

つまり指定商品の外装の形状を普通に表示しただけのもので、登録できないということです。

これに対し、2011年5月に、拒絶査定に対する不服審判をアップル社側が請求し、拒絶査定が覆り、2011年11月に拒絶査定が取り消され、登録となったものです。

登録になった理由が次の通りです。
「本願商標は、別掲1のとおり、縦書きの角丸長方形内の中央に縦書きの長方形を配し、当該縦書き長方形の上部に黒塗りの横長楕円、下部に白抜きの円を配した図形よりなるところ、これを本願商標の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、なんらかの器具やその部品を描いたものを想像することがあるとしても、このような抽象的な略図をもって、直ちに商品の品質、形状を具体的に表示したものということはできず、自他商品の識別標識としての機能を有する図形よりなるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標とはいえない。」

このような抽象的な略図では、商品の形状等を具体的に表示したもの(外装の形状を普通に表示しただけのもの)ではなく、商標として機能するものだということです。

しかし、細部まで具体的に描いた図面のようなものであれば、単なる形状を表示しただけで商標ではないということになりますが、逆にいえば、抽象的な略図だからこそ、アイコンのような図形として使用するときには、第三者は注意しなければなりません。
携帯端末、スマホをアイコン図形にしようとすると、どうしてもある程度は似通った者になりがちであろうと思われるからです。
図形の中のボタンの位置が、iPhoneらしいといえるのでしょう。

この商標登録の日本語訳は、下記のものです。

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)】
第9類
テキスト・データ・音響及びビデオのファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び見直し用の携帯電話並びに携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置のためのあらゆる種類の電子式及び機械式部品及び付属品,電子式ドッキングステーション,移動電話並びに持ち運び可能な及び手持ち式デジタル電子装置の保持専用のスタンド,バッテリーチャージャー,バッテリーパック,電気用のコネクター・電線・ケーブル及びアダプター,携帯式及び手持式のデジタル電子装置の有線及び無線遠隔制御器,ヘッドホーン及びイヤホーン,電気通信機器、すなわちスピーカー,移動電話用のマイクロフォン及びヘッドホン,ホームシアターシステム,ステレオ用の増幅器及びスピーカーを主体とするステーション,カーステレオ用アダプター,オーディオレコーダー,オーディオ用・ビデオ用及び無線用受信機,オーディオ用・ビデオ用及び無線用送信機,ビデオビューワー、すなわち携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のビデオモニター,電子メモリーカード読取装置,保護ケース,全てテキストファイル・データファイル・オーディオファイル及びビデオファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び批評用の移動電話機用並びに携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のもの,移動電話用並びに他の携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置用の相互接続性を実現する様に設計された置き台

星野ジャパンの商標登録

以前、「星野ジャパン」の商標登録出願がされているという記事がありました。
星野ジャパンの星野監督の名義で、知人が出願をしたが、本人が知らなかったことや批判的な記事等があったことで、出願を取り下げたということでした。

これに関する週刊誌やブログでの話題といえば、星野監督個人で商標登録してしまうのはけしからん、言葉を独占して利益でも得るつもりなのか?といったものでした。
しかしこうした論調には違和感がありました。
そこで、オリンピックが開催されている現在、このことについて書いておきたいと思います。
なお、筆者は、どのような目的や経緯で商標が出願されたのか、といった個別事情には詳しくありませんので、あくまでも一般的なこととして記します。

第一に、商標登録制度の目的は、商標に独占権を付与することによって、第三者が不正・不当に商標を使用することを防ぐことです。そうだとすれば、「星野ジャパン」を商標登録することはむしろ当然のことといえるでしょう。これほど著名な言葉ともなれば、不正競争防止法などにより、不正な使用を何らかの方法で防ぐことができる可能性はあるとしても、対策方法はとても困難をきわめます。

第二に、商標登録制度の目的は、商標登録をすることによって、第三者が商標登録してしまうことを防ぐことです。
著名な商標であれば第三者が不正に登録することを特許庁は審査で防いでくれますが、審査の結果次第となることですので、先に正当権利者が商標登録出願をしておくことが望ましいということになります。

第三に、商標登録の権利主体となれるのは、(1)個人、または(2)法人となります。
法人格のない団体が、出願人・権利者の名義人となることはできません。
たとえば、「なでしこじゃぱん/NADESHIKO JAPAN」という商標は、財団法人日本サッカー協会
が登録しています。これは財団法人という法人格がある団体だから、団体名義での登録ができるのです。
プロ野球球団などの法人格のある団体であればよいのですが、そうでない団体の場合には、通常は代表者など、個人の名義で登録することが当たり前です。
たとえば、ボランティア団体、法人格のない業界団体などの出願を扱うことがありますが、代表者などの個人で登録をするほかありません。
しかも、「星野ジャパン」という商標は、商標中に「星野」という著名人の氏が含まれており、他の個人名義で出願した場合に、登録を拒絶される理由にもなりかねません。

したがってここでの筆者の結論としては、第三者の不正使用・不正登録を防ぐためには、星野監督個人の名義で出願しておくという結論になるのは当たり前のことなのです。

「なでしこじゃぱん」は登録商標です

「なでしこじゃぱん」は登録商標です。
・・・なんて書くと、それではこの言葉は使えないのか、と心配する方もでききますが、「阪神優勝」のときと同様にそれは杞憂です。今回は正当な権利者が登録していると考えられますし、あくまでも「商標」とはある特定の商標登録した業務(商品名、サービス名称、ブランド名など)について使用する場合にのみ独占できるものだからです。一般人が会話で使ったり、報道で「なでしこじゃぱん」について言及したりすることになんら問題はありません。

たとえば、「スポーツの興行の企画・運営又は開催」について登録していれば、この業務については商標権者がその名称の使用を独占します。スポーツウェアについて登録すれば、その商品名などについて独占します。
一般的には、使うかどうかまだわからないものまで含めて、ある程度広めに登録することは、通常、あることですが。

さて。
商標登録第4845345号
登録日:平成17年(2005)3月11日
出願番号:商願2004-62898
出願日:平成16年(2004)7月7日
権利者:財団法人日本サッカー協会

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登録した業務(【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】といいます)はやや広めです。お役所言葉なのでわかりにくいですが。

第16類:
事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て

第25類:
被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

第32類:
ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース

第41類:
当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与

ちなみに、「なでしこリーグ」も登録されています。

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「スナックパイン」実は登録商標

「スナックパイン」実は登録商標
8月12日16時5分配信 琉球新報

沖縄でパイナップルの収穫が進んでいるが、その一種として、手で簡単にちぎれ、糖度が高くておいしいことから人気の「スナックパイン」は、実は登録商標だということで、確認すると登録されていました。
商標権は、商標の使用を独占できる権利であるため、行政や一部業者は数年前から使用を控えているが、商標権者側は「品種の人気が広がるなら使用を許可している」ということです。

実はこのように使用を広く許可する例は珍しくはなく、商標を広く認知させることによって、商品の普及を促し、取引の拡大に役に立つことはままあります。

ただし、その名称が普通名称ではなく、あくまでも登録商標であることを主張していかないと、いつのまにか言葉が独り歩きしてしまいに本当に普通名称になってしまうケースがあります。登録商標の普通名称化を防ぐため、その管理にあたっては注意が必要です。
登録商標であっても、第三者に使用されるなどして普通の言葉として使用されることを放置していると、その商品・役務の普通名称、その商品・役務について慣用されている商標などになってしまい、商標権の効力が制限されてしまうことがありえます。登録商標の普通名称化

「アカデミー賞(R)」はおかしいか?

アカデミー賞(R)って…そこまでやるか、商標権!(イザ!)との記事がありました。

広告やPR記事の文章中などでの表記について、
「『アカデミー賞』という言葉が登録商標であると強調したいのでしょうが…
はっきり言って、強い違和感を覚えました。
アカデミー賞は、誰もが知っている権威ある賞であり、
商標登録だと強調する必要性は感じられません。」
といった感想を述べている内容です。

ところで、「Walkman」といえば、SONYの商標であることは周知の事実です。
ところが、オーストラリアでは、これは普通に使われる一般名称であるという判決が出されてしまったことが以前にありました。
辞書で特定の出所を示す商標ではなく、一般名称、普通名称であるかのように記載されてしまったり、一般的に使用される状態を放置しておくと、登録商標であっても誰もが使用できるようになってしまうおそれがあります。
実際にそのような例はいくつもあります。

さらに、「スナックシャネル事件」という不正競争の裁判がかつてありました。
著名商標を、まったく関係のない他人が異なる業種で使用した結果、誤認・混同が生じ、イメージを損ねるということで使用差止をしたものです。

googleで「"界のアカデミー賞"」で検索をしてみれば、19600件が検索されました(2007年4月15日検索)。
「ゲーム界のアカデミー賞」、「スポーツ界のアカデミー賞」から、「AV界のアカデミー賞」まで、ありとあらゆる使用例が発見できます。

さらにはWikipediaにおいては、
「『Academy Awards(アカデミー賞)』は商標登録されており、無許可で使用することは出来ない。」
と、登録商標であることは明記されているものの、
「例えば料理や建築、文学や美術などさまざまな映画以外の賞においても、『○○界のアカデミー賞』という具合に、その権威の高さを表す冠詞として扱われることが多い。」
とも記載され、一般的な使用が相当程度行われていることがうかがえます。

たしかにしつこすぎる表記方法には違和感を感じる場合もあると思いますが、権利者としては危機的状況でもあるのです。
「日本の『日本アカデミー賞』やイギリスの『英国アカデミー賞』などは、ロイヤリティを支払ってその名の使用許可を得ている。」(Wikipedia)との状況で、商標権者から使用許諾を得て使用させてもらっている日本の主催者が、一般的に使用されることを放置できるはずがありません。
使用権者の不注意により、普通名称化を放置してしまっては、ロイヤリティの支払いどころではなくなってしまうかもしれません。

流行りはじめている名称

新市場に名前が付いた時点で、市場参入は既に手遅れという話を読みました(ITmediaBlog「永井孝尚のMM21」)。著者は企業でブランド・マーケティングの仕事などをされています。

この中で、「市場の名前が定まっていない段階は、市場がこれから立ち上がろうとしている段階であり、新規参入のチャンス」とされています。
逆に「逆にその市場の名前が決まっている時点では、その市場は既にある程度の大きさになっており」、「既に同じ市場でリーダーの地位を確立している経験豊富なライバル企業が存在している」とのくだりを読み、わが意を得たり、と思いました。

実は、商標登録を専門とする弁理士の仕事をしている中で、あまりにも似たような事例が多くあります。
商標登録をしたい、といった問い合わせを受けるのですが、それが流行りだしている商品やサービスの名前であるといったケースで、それに便乗しようとしているケースも多々あります。

しかし、その「流行りだしている言葉」が、既に一般的に広く使われるようになっているのであれば、特定の人が商標登録をすることはできません(商標法第3条第1項第3号等)。
逆に、その「流行りだしている言葉」が、先行する特定事業者の商品名やサービス名として使われているのであれば、他人の周知商標であるとして、やはり商標登録をすることはできません(商標法第4条第1項第10号等)。
ケースバイケースで、その他の拒絶理由に該当することもあります。

さらに、上記には該当せず、商標登録できる商標であったとして、既に他人が一般的に使用をはじめている名称と同じ名称を、わざわざ自分の商標として採択することは、競合の名称が多く、他人の商品・サービスとの区別がつきにくい商標を、あえてわざわざ選択するということになります。
その中で、自分の商標を世に広く知らしめようとすれば、ほかの独創的な商標を採用する場合にくらべ、はるかに多額の広告費をかけ、宣伝をし、営業をして、他の商品・サービスとは違うのだということを説明しなければなりません。
つまり不利なスタートラインにあえて立つということになってしまいます。

ところで、弁理士という職業柄、法律に関することや、行政に対する手続ばかりをしているのかというと、そうでもありません。
こういうケースが頻繁にあるということは、常に世の中で流行りだしているもの、それらの名称、あるいは誰がその名称を使いはじめており、誰が現在その名称を使用しているのかを、知っているか、あるいは瞬時に調べる対応力が必要です。

最近よく使われてきはじめた言葉だなと思い、安易に「便乗して商標登録することはできません」などと言ってしまってもいけないのです。
その言葉を発案し、一般名称にならないよう注意深く使用して、商標として管理している「ご本人」からの問い合わせや登録の依頼であることも、ままあります。

著名商標に類似する商標が使われていたら?

著名商標「ARMANI(アルマーニ)」についての記事がありました。
著名商標と紛らわしい表示をしていいのか?という内容です。

類似かどうか、不正目的かどうか、といった調査や判断が必要となりますので、ここではそこまで踏み込んだ結論めいた記述はいたしません。
このような問題が起きた時に、法律的にはどのようなことが考えられるかについて、書いてみたいと思います。

(1)商標権に基づく権利行使
商標登録がされていれば、その商標と同一の商標、類似の商標について、使用の差止や損害賠償請求などの権利行使ができます。
ただし、登録されている商標の指定商品・指定役務と同一・類似の範囲で使用している相手に対してに限られます。
たとえば、服(第25類:被服)について登録商標を保有していても、紛らわしい名称の時計について、権利行使をすることができません。

時計と同一・類似の商品に付いて商標権を保有していれば、商標権に基づく権利行使が可能です。
ただし、商標が同一か、類似のものである場合に限られます。

商標登録第2653840号
登録日:平成6年(1994)4月28日
商標「ARMANI」
権利者:ジェ、ア、モドゥフィヌ、ソシエテ、アノニム
第9類:眼鏡、第14類:時計

商標登録第4076267号
登録日:平成9年(1997)10月31日
商標「ARMANI」
権利者:ジェ、ア、モドゥフィヌ、ソシエテ、アノニム
第14類:貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器,貴金属製の花瓶および水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消しおよびろうそく立て,貴金属のがま口および財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉およびその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて

国際登録番号833734
国際登録日又は事後指定日:平成16年(2004)7月19日
国内登録日:平成17年(2005)10月21日
商標「ARMANI」
名義人:GA MODEFINE S.A.
第14類:貴金属及びその合金並びにそれらからなる製品又はそれらでメッキした製品(本類に属するもの。),宝飾品,宝玉、宝玉の原石,計時用具
他、多数の区分

(2)不正競争防止法に基づく権利行使
下記の不正競争行為に該当すれば、商標権と同様に、使用の差止や損害賠償を請求できます。
ただし、立証には困難さが伴います。
また、不正の目的でない場合には適用されません。

不正競争防止法第2条第1項第1号
「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」

不正競争防止法第2条第1項第2号
「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為」

(3)その他の措置
紛らわしい表示をした者が商標登録をしており、その商標について不正使用をしていた結果、誤認・混同を引き起こしたときには、その商標登録の取消を請求する手続があります。

商標権者(あるいは使用権者)が登録商標の使用をした結果、禁止権の範囲内で、故意により、品質の誤認や出所の混同を生じるようなこととなっている場合には、何人も、登録商標の取消を請求することができます(商標法第51条、第53条)。

著名人の氏名は商標登録できるか?

著名人であるタレントの氏名が商標登録されているかも、という記事がありました。
私の名前返して!「神田うの」誰が商標登録?

このようなことは基本的にはないと思います。
簡単に検索した限りでは発見できませんでした。

これを法律的にいえば、
「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」(商標法第4条第1項第8号)となりますが、もう少し簡単にいうと下記の通りです。

(1)他人の肖像
(2)他人の氏名・名称
(3)他人の著名な雅号、芸名、筆名
(4)上記(1)~(3)の著名な略称

上記(1)~(4)を含む商標は、登録されません。
ただし、その他人の承諾を得ているものを除きます。

なお、氏だけ、名前だけ、という場合などには、登録できる場合もあります。
承諾を得た場合には、特許庁に承諾書を提出します。

また、万一、承諾なくして自分の氏名が商標登録されてしまった場合や、同姓同名の場合にも、自己の氏名を普通に用いられる方法で表示することは可能です(商標法第26条)。
商標権の行使によって自分の名前が使えなくなるなどということはありません。


商品の普通名称は自由に使用可能

商標は、指定商品について登録されたら、その指定商品(類似商品を含む)についてのみ、独占使用権が発生するものです。
商標権侵害だと警告されたら、商標権の内容を確認すること、判断ができなければ専門家に相談することです。誤った知識に基づく警告や、意図的に拡大解釈した警告がされることもあります。

「パワーストーン」とは、魔法的・魔術的な効果を持つとされる鉱物やその装飾品の名称として、一般敵に使用されている言葉と考えられます。
これを指定商品「石」について登録することはできないと思います。
まったく異なる商品について商標登録がされても、石やその装飾品に類似しない商品について独占使用権が発生するわけではありません。

さらに、普通名称など一般的名称が、他の特徴的な言葉と組み合わされて登録された場合などには、その特徴的なところに独占権があると考えられます。
普通名称などの一般的名称は使用可能です。
下記の通り、法律に明記されています。

商標法 第26条(商標権の効力が及ばない範囲)
商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には、及ばない。

1 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
2 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
3 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
4 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標
(以下、省略)

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